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大学入試改革において、記述対策など取るに足らないとわかる記事

大学入試改革において、記述対策など取るに足らないとわかる記事

 

 

大学入試改革では、断片的な情報だけが一人歩きし、背景を伴って全体を理解できている方はほとんどいないように見受けられます。目立った情報であるセンター試験の廃止や、記述式問題の導入などばかりが取りざたされているようです。

今回は、大学入試改革の導入の経緯から概要までをまとめ、これからの傾向と対策を考察しています。(この記事は2018年10月現在に作成されたものです。)

 

 

 

 

 

なぜセンター試験は廃止に?

 

 

 

センター試験が廃止になった大きな要因は、これからの21世紀の社会において、既存の教育が用をなさないことが無視できないほど明確になってきたからです。

日本における「暗記偏重の教育」については国内外から常々批判されてきました。その象徴が大学入試センター試験です。既存の大学入試の内容は、粗い表現をすれば、覚えていればすべて解けるような内容のものです。応用問題も出題されますし、思考力を問う問題もありますが、総学習時間における暗記と反復演習の割合が9割であるこは事実です。今回の大学入試改革では、この暗記偏重の受験から脱却しようという試みです。

 

 

きたる21世紀の社会は、変化が急激で予測が困難な社会であると考えられています。そうなると、21世紀の社会を生き抜くために必要な学力は、暗記偏重の教育で得られる画一的な知識ではないでしょう。技術や社会情勢の目まぐるしい変化に対応していくには、相応の教育が必要となってきます。それに伴い、文部科学省は21世紀用の「学力の定義」自体を新しく更新しています。

 

実際に新たな試験の内容はどのように変化をするのか見ていきましょう。

教育改革が起こり、試験内容が新しくなるからといって、内容が180度変わるわけではありません。まずは教科ごとの変更点をまとめました。

(現段階ではほとんどの情報が検討段階にあたります。今後の試行調査の結果によっては更なる変更点も出てくる可能性もあります。)

 

 

 

各教科の変更点・問題作成方針のまとめ

 

・国語

≪変更点≫

大きな変更点は、既存の選択式マーク問題に加え、大問一つ分の記述式問題が導入される点です。それぞれ、20~30字程度、40~50字程度、80~120字程度の記述問題が1問ずつ、計3題課されます。記述式問題導入に伴い、解答時間は現行の80分から100分に延長されます。平成29年度試行調査(プレテスト)では、マーク式の解答用紙と別で、記述式問題用の解答用紙が使用されていました。

記述式問題の評価は、マーク式問題の配点とは別に、段階別評価がなされる予定です。段階は20~30文字と40~50文字では4段階表示、80~120文字のものは、1.5倍の配点で5段階評価とすることが検討されています。

 

≪問題作成方針≫

問題作成方針としては、これまでのような「評論・文学・古文・漢文」を大門とするのではなく、分野を超えて題材を組み合わせたり、同一分野においても複数の題材を組み合わせた出題とする方針です。

 

 

・英語

≪変更点≫

英語においてのみ、2020年度から2023年度まで、各大学は、大学入試センターが作成した共通テストを用いる試験と、民間業者が提供する資格・検定試験のどちらかまたは両方を利用できる予定です(大学入試英語成績提供システム)。2024年度以降については、資格・検定試験の状況を検証しつつ決定されます。

(東京大学が民間の資格・検定試験を利用しないことを表明するなど、各大学がどのような対応をしていくかはっきりません。)

 

 

≪問題作成方針≫

問題内容は、筆記試験とリスニング試験となりいずれも選択マーク式問題のみです。その点は現行のセンター試験と変わりません。ですが、英語の資格・検定試験の活用によって「聞くこと」「読むこと」「話すこと」「書くこと」の総合的な評価がなされることを踏まえ、筆記試験では「読むこと」の力のみを把握するとし、発音、アクセント、語句整序などは出題されないことが検討されています。

4技能の総合的な評価を目指し、筆記試験とリスニングの配点を均等とする予定です。最終的には試行調査の状況や関係者の意見などを踏まえ決定されます。

 

 

・地理歴史

≪問題作成方針≫

地理歴史ともに、物事を多面的、多角的に考察する力を重視するようです。いわゆる、暗記だけで解ける問題を減らしていく方向だと言えます。

地理では、系統地理と地誌の両分野を複合させた設問が含まれます。

歴史では、教科書に記載のない資料についての設問や、時代や地域だけでなく「歴史の見方」に関する設問、時間軸を長く取った時代を横断する問題なども含まれます。

 

 

・現代社会、倫理、政治・経済

≪問題作成方針≫

多面的・多角的に考察する過程を重視します。いずれの科目も文章や資料をしっかりと読み解き、さまざまな立場から考察する問題などが含まれます。

現代社会では、現代社会の課題や人間としての在り方、生き方などについて。

倫理では、人間としての在り方生き方に関わる倫理的諸課題について。

政治・経済では、現代における政治、経済、国際関係などについて。

これらを考察する力が求められるでしょう。

 

 

・数学

≪変更点≫

大きな変更点は、記述式の設問が追加されることです。記述式問題は「数式を記述する問題」または「問題解決のための方略などを端的な短い文で記述する問題」が3問、従来のマーク式問題と混在される形で出題されます。それに伴い、試験時間が現行の60分から70分へ変更となります。現段階では数学Ⅰのみ記述式問題が追加される予定です。

 

≪問題の作成方針≫

問題の作成方針としては、数学的な問題解決の過程を重視し、日常の事象と絡めた題材や、教科書等では取り扱われていない、受験生が未習得のものまで含めた題材も扱う予定です。

 

 

現行のセンター試験数学についてはこちら

 

 

・理科科目(物理・化学・生物・地学・基礎も含む)

≪問題の作成方針≫

日常生活や社会と関連した科学的な事象・現象に関する概念や原理・法則などの理解が問われます。さらに、仮説を検証する過程で数的処理を伴う思考力などが求められる問題も含まれます。

 

 

現行のセンター試験物理についてはこちら

 

 

各教科についての考察

 

 

大学入試改革において、良く取りざたされているのが記述式問題の導入についてかと思います。しかし大学入試改革において、理解と対策が求められる点は形式よりも性質にあります。

 

形式上は、国語と数学に記述問題が追加されたこと、英語が民間の資格・検定試験の利用を想定していること、リスニングの配点が筆記試験と同等になったことは変更点だと言えます。とはいえ、記述問題は今のところ極めて限定な分野のみの出題であり、学生側の準備はそれほど負担にはなりません。そもそも国立大学や難関私立大学でも二次試験において記述問題は当然課されます。

 

一方で設問の性質に関しては、いずれの教科においても、多面的な考え方、さらには未知の問題に対する適応力や解決力が問われる予定です。分野を複合した設問や見たこともない題材が問われることは、これまでのセンター試験の主流ではありません。学生は、記述式問題の対策よりも、要求される学力(未知の問題に対応する力)の養成に苦労するのではないでしょうか。例えば、形式上はマーク式の設問であっても、「あなたは江戸幕府の滅亡について議論を重ねる2人の考えのどちらに賛同するか、賛同する人物と理由を組み合わせよ。」といった、答えがいくつもあるような問題も想定されます。

 

実際の学習機関においても、大学入試改革へ対応しているという文言だけが先行し、実際はただ記述対策をしているだけである場合が目立ちます。そうではなく、大学入試改革の本質は、学力の再定義なのです。これまでの知識偏重型の学力から、未知の問題に対応する学力へ。各教科の知識や理解をもちいて、これからの課題を見つけ、課題を解決していく力のことです。

 

 

 

大学入試改革への対策

 

 

これからの対策についてですが、大学入試改革の全貌はまだはっきりとしていません。断片的な情報だけが乱立し、各機関やご家庭の焦りだけが先行しているように思えます。

私の立場としては、一過性の情報に振り回されず、今はこれまで同様に各教科の勉強を継続していくことをお勧めしています。

上記のとおり大学入試改革の形式上の変化は取るに足りません。学力の再定義にしても、少なくとも各教科の基本的な知識と理解があった上での、未知への対応力が求められます。各教科の基本的な知識と理解がなければ話にならないのです。いくら改革が起きようと、「もてる知識を用いて」という前提は変わりようがありません。

また、大学入試改革後も各大学のつくる二次試験(個別学力試験)は継続して課されます。いくら改革が起ころうとも、各々の大学はその裁量において独自の学力試験を出題してくるのです。結局は、各大学が求める二次試験(個別学力試験)を突破できなければ、合格はありません。これからの数年間で、各大学の二次試験の内容が急激に変化するとは考えにくいです。ですから、ここ数年間はこれまでと同様の既存の学力もないがしろにできません。

 

大学入試改革において、強いて特別な対策をとるとしたら、今のところ英語の学習くらいではないでしょうか。英検の賛否はありますが、TOFEL、TEAP、GTEC、ケンブリッジ英検など、実用的な英語学習はこれまで以上に重要になってくるかと思います。

 

繰り返しになりますが、それ以外の学習に関しては、焦らずにこれまで同様の各教科対策を実直に進めていきましょう。

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